消費者金融でキャッシングをする時、つい溜息をついてしまうのが総量規制です。普段あまりキャッシングをしない人には関係がないのですが、そうではない人にとって頭痛の種になってしまうことも。
でも、総量規制が迫っていても、どうしてもお金が必要になることがあるかもしれません。遊興費はともかくとしても、急な医療費などはどうすれば良いのでしょう。
実は貸金業法では、総量規制に関係ない種類の借入があります。もしあなたが緊急時、その借入内容に適するのであれば、もしかすると審査に通る可能性があるのです。
多くの人がご存知のように、総量規制は貸金業法という法律で定められた規則です。どのような特徴があるのかを、まずは簡単にチェックしてみましょう。
キーポイントは「年収の三分の一」ですね。利用者、貸金業者の両方が、意識しておかなければいけない数字になります。特にリボ払いなどを利用していると、借入総額が分かりにくくなることもあるため、注意しておきましょう。
違反してしまった時、利用者に対する罰則は特にありません。規定を超える貸付をした貸金業者に対しての罰則となります。
総量規制の意義は、「利用者が借り過ぎて返済に苦慮しないこと」を目的としており、つまり利用者保護を目指して制定されたルールです。
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この貸金業法(総量規制)が適用されるのは、貸金業者と言われる企業のみとなっています。貸金業者は以下のような分類になります。
消費者金融、信販会社を利用する時、総量規制に触れる金額になっていると、新たな利用はできません。借入をしたくてもその場で断られることになるでしょう。
一方、銀行も独自の融資商品を出していますが、こちらは総量規制の対象にはなりません。法的に言えば、銀行が発行しているカードローンなら総量規制に関係なく借入を希望することができます。
しかし、2018年から銀行の自主的な決定により、やはりカードローンなど個人の小口融資に関しては、貸金業者と同様、年収の三分の一以内という方針を打ち出しています。
2018年9月現在、全ての銀行カードローンがその方針を明示しているわけではありませんが、メガバンク3社では既に取り組み済みであり、他の銀行でも徐々にその方針を採用すると予想されます。
とはいえ、お金のことはどうしてもイレギュラーな事態になることがあるでしょう。総量規制に達していたとしても、緊急の用事ですぐに用立てなければいけなくなるかもしれません。
そんな時には総量規制に関係なく、消費者金融などから借入が可能な「例外」「除外」を考えてみてはいかがでしょうか。
まずは「例外」について見て行きましょう。総量規制に達していても、例外の扱いで新たな借入を希望できるのは、以下のような場合になっています。
例外項目 | 内容 |
---|---|
利用者が一方的有利となる借り換え | 借金の一本化 (おまとめローンなど) 金利の低い商品への借り換え |
世帯収入による借入 | 本人と配偶者の年収を合算、 その年収の三分の一以下 |
緊急時における借入 | 医療費、葬儀費用 |
個人事業における借入 | 個人事業主による事業資金 |
つなぎ資金としての借入 | 銀行からの融資待機期間中の資金 |
多くの人に関係ある(?)項目としては、「利用者に一方的有利となる借り換え」です。要はおまとめローンなどで借金の一本化をしたり、金利がおトクな商品に借り換えするということですね。
一本化や低金利の借り換えは、業者側が損をすることになりますが、利用者が返済をより楽にするという手段ですので、貸金業法の利用者保護の観点からすれば、理に適った内容だと言えます。
本人と配偶者の年収を合わせた金額の三分の一以下の借入は、どちらかが総量規制に達していても新たな借入ができるということになります。急場をしのぐには良い方法ですが、やはり計画的な利用が必要でしょう。
医療費や葬儀代なども、本人や家族の分を借りることができます。しかし、こちらは貸金業者からではなくても、高額医療保障制度や自治体の補助で補うことも可能ですので、利用前によく考えましょう。
事業資金やつなぎ資金は個人的な借入ではなく、個人事業主がビジネスローンとして借入をすることになります。よって個人を対象とした総量規制には無関係です。
例外の内容を見てみると、「緊急時に利用者が困らないようにする」という点がピックアップされているように感じます。それは間違いではありませんが、稀にちょっとした勘違いを起こしてしまう内容でもあります。
例外を利用することにより、総量規制を超えた金額を借入することになりますが、これは字の通り「借入」であり、借金です。総量規制を超えてか借りられるケースというだけの話です。
つまり、例外は総量規制を超えて借入をすることが許される項目ではありますが、総量規制のルールには関係しているため、総量規制の範囲内に返済が進むまでは、新たな借入をすることができません。
逆を言えば、総量規制の範囲内まで返済を進めれば、新たな借入は可能です。必要な時に備えてどんどん返済を進めて行けると良いですね。
貸金業者の代表格、消費者金融と言えば、即日融資が有名です。例外の場合も即日融資ができるのかと言うと、実際はそういうわけにもいかないと言われています。
例えば配偶者との年収の合計の三分の一以下であれば、理論的には専業主婦でもお金を借りることができます。しかし、昨今の消費者金融では専業主婦に貸付をすることに消極的なため、手続きや審査に時間がかかるようです。
また、つなぎ資金として借入をしたい個人事業主の人には、「確実に銀行から融資を受けられる証明」が求められ、大抵は証明書類となりますので、その用意も大変ですし、審査にも時間がかかります。
例外は便利な制度なのですが、スピード融資を求める人には向いていません。少しでも必要だと感じたら、できるだけ早い行動を起こした方が良さそうですね。
次に除外について見てみましょう。除外は例外と比較すると、やや専門的なジャンルの融資が多くなっているようです。それでも一般的に利用できる内容ですので、ぜひチェックしてみて下さい。
除外項目 | 内容 |
---|---|
不動産購入・改良資金 | 住宅ローン、リフォーム費用 銀行融資までのつなぎ資金も可 |
有担保ローン | カーローン、土地、有価証券 |
高額医療費 | 高額医療報奨制度 (国家の制度) |
今まで住宅ローンやカーローンと言えば、銀行の専売特許だったわけですが、最近では大手の消費者金融でも取り扱いを始めています。特にカーローンへの進出が目立つようです。
住宅ローンやリフォームローンとしての借入は担保制ではありませんが、返済ができなくなった場合には差し押さえられますので、実質担保としての性質を持っていると言えます。
カーローン、土地や有価証券は、担保として利用した借入になります。もちろん完済すれば担保としての扱いは消えますので、安心して利用できますね。
高額医療費については後述しますが、その他の住宅関連の借入、担保の借入において、なぜ総量規制の除外という扱いになるのでしょうか。
個人の借入とはいえ、除外項目として住宅関連、担保関連が設定されているのは、このような理由からなのです。
もちろん、貸金業者ではなく、これから貸付額に自主規制を進めて行くはずの銀行から同様の理由でお金を借りたい時にも、これらの住宅関連、担保関連で心配する必要はありません。
例外でも同様の内容がありましたが、緊急の医療費として借入をする際には、やはり総量規制の対象外となります。
この時に適用されるのは、高額医療保障制度になります。消費者金融からの借入ももちろんできるのですが、手続きによっては高額医療保障制度を利用した方が多くのメリットを受けられることになります。
高額医療費は、自治体が定めた金額以上の医療費が約三ヶ月後に返還されます(手続きが必要です)。2018年現在では、一般的に8万円を超えた分が返還されることになっています。
しかし、病院への支払いは本人が一時立て替えをしなくてはならないため、その時の資金として消費者金融から借入をする時には、総量規制を超えても借りられるというわけです。
とはいえ、やはり特殊なケースですので、消費者金融で借りるまでには時間がかかったり、煩雑な手続きが必要になります。そして審査内容によっては必ずしも借りられるわけではありません。
高額医療費として借りる場合には、よほどの事情がない限り、除外ではなく自治体や健康保険組合からの借入をした方が良いでしょう。
尚、病院へ行く前に申請手続きを取っておくと、支払いの時にすぐに対応してもらえますよ。出産時の緊急帝王切開なども対象となりますので、予定になくても念のため、事前に申請しておくと安心です。
総量規制に達していても、いざという時の人生の緊急事態には、借入が可能な例外・除外について考えてみました。思っていたよりも幅広い範囲で例外・除外が適用されることがお分かりではないでしょうか。
しかし、例外・除外が適用され、借入ができたとしても、それは総量規制を超えた借入という借金であることには変わりがありません。返済をして総量規制の枠内に戻るまでは、新たな借入をすることが不可能です。
この内容なら銀行、この内容なら自治体、この内容は消費者金融、といった選別の仕方も考えてみると良いかもしれません。例外・除外を理解しておくと、より便利な家計運営が可能になってきますよ。