キャッシングやカードローンの審査の時、必ずチェックされることと言えば、勤務先や勤続年数です。お勤めの人なら簡単に証明できるのですが、開業届を出していない自営業の人、月給制ではないフリーの人は困りどころですね。
ちょっとネットで調べてみると、もしかすると「在籍証明出します!給与明細も作れます!」と宣伝している業者を見付けるかもしれません。いわゆるアリバイ会社です。
でもこのアリバイ会社、実は利用は絶対アウトなのです。申し込みの時にアリバイ会社を利用すると、どんなことが起きるのでしょうか。
アリバイ会社を利用したいと考えている人は、まずアリバイ会社がどのようなものかを知っておいた方が良いでしょう。
存在としては違法ではありませんが、関わる時には充分な知識と判断が必要です。
アリバイ会社の特徴として、事業としての活動をしていない、名義だけの会社というものがあります。幽霊会社、ペーパーカンパニーと呼ばれることもあります。税金対策のために設立されていることが多いと言われています。
事業実績がなくても源泉徴収票や給与明細を発行する権利はあるため、会社に勤務していない人に、そういった証明書類をお金と引き換えに提供する行為をしている会社も存在しています。
キャッシングやカードローンの世界では、お金を借りたくても証明書類が用意できない人が、審査を通過するためにアリバイ会社を利用するケースがあるようです。
アリバイ会社は違法な存在ではありません。しかし、これはあくまで「正規の届けを出して登記している会社」に限った話です。
まず、登記をしていない会社は絶対にNGです。正式には会社ではなく、単に自称しているだけであり、社会的にも褒められる存在ではありません。また、会社の住所や連絡先を偽っている会社もあります。
中にはキャッシング、カードローンの証明書類を提供するためだけに存在している会社もあると言われています。証明書書類の発行に手数料を課し、利益を上げるという手法ですね。
借入申し込みのためには証明書類が必要ですが、労働形態上、どうしても用意できないという人もいるでしょう。アリバイ会社を知っていれば、手数料がかかってもつい手を出したくなるかもしれません。
「アリバイ会社に証明書類を作る権利があるなら問題ないじゃない」と考えたとしても、その考え事態が完全にNGです。
利用者が本当にアリバイ会社に勤務していて、作成された証明書類通りの給与を得ていれば問題ありません。しかし、アリバイ会社に作成を頼む人は、ほぼ確実に勤務してはいないでしょう。
信用情報機関に登録されたマイナスの情報は、一般の人が思っている以上に重要視されています。特にアリバイ会社の利用は、金融機関によっては「公序良俗に反する行為」と認定される可能性も高いと言われています。
この公序良俗に反する行為というのは、お金の世界では最も信用を失うことです。
今後の申し込みの審査に悪影響を与え、どこの金融機関からもお金を借りることができなくなるかもしれません。
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これだけアリバイ会社の存在が知られているということは、審査に通過した人が経験談を広めているということにも繋がります。つまり、アリバイ会社を使っても審査に通過する可能性が無いとは言えないわけです。
しかし、やはりアリバイ会社の利用は絶対にお勧めできません。もしも審査に通過し、キャッシングなどをした後、途上与信(借入先が利用中に改めて個人情報をチェックすること)が行われたとします。そこでバレる可能性があります。
消費者金融や銀行では、業務内容の性質上、お金の犯罪を防ぐために、アリバイ会社に関しては非常に神経を尖らせています。アリバイ会社の存在、業者名などは多くの金融機関で知られていると言っても良いでしょう。
そのため、もし契約前の審査に通っていたとしても、途上与信で利用が判明する可能性は充分にありますし、その場で一気に信用がゼロになってしまうのです。
強制解約をされることもありますし、その後に待っているのは一括返済を求める連絡です。一括返済できればまだましですが、できなければ法的な話し合いに入ることも覚悟しなければいけなくなってしまいます。
強制解約や一括返済ではないとしても、順調に審査に利用し、途上与信をすり抜けても、もしかすると返済に困り、自己破産を選択したくなる時が来るかもしれません。
しかし、アリバイ会社を使っていた人の場合、自己破産すらできなくなってしまう可能性があるのです。
自己破産をはじめ、法的な債務整理の時には、消費者金融や銀行の審査以上に厳しい審査が行われます。相手は法律のプロの裁判所となるわけですから、それも当然だと言えますね。
自己破産の手続きを開始し、裁判所が審査を行った時、アリバイ会社の利用はほとんど判明すると言われており、「偽造書類でお金を借りた」と認定され、その分のお金は破産の許可が降りなくなってしまいます。
軽い気持ちでアリバイ会社を頼む人もいるかもしれません。しかし、やはり危険が伴う方法であることは確かです。アリバイ会社に高い手数料を支払っても、いつバレるのかとひやひやしながらお金を借りる生活が待つだけですよ。
アリバイ会社の全てがそうではありませんが、その性質上、違法業者が多く交ざっていることは有名な話です。何でもお金になる時代、違法業者の大多数が欲しがるものが「個人情報」であることをご存知ですか?
今の時代、個人情報の流出は、大手の会社でも大騒ぎになる重大な出来事です。個人情報をもとに執拗なセールスをかけたり、詐欺的な行為を持ちかける迷惑な業者に渡ったら大変なことになるからです。
そのため、個人情報保護法があるわけですが、元々が違法業者ならそんなものを守るはずがありません。アリバイ会社に依頼した人の個人情報は高額で売買され、大変な迷惑を被ることになるでしょう。
また、「アリバイ会社に頼むくらい困っているなら良いカモになる!」と判断され、闇金がコンタクトを取ってくる危険性も否定できません。
アリバイ会社を利用することは、かなりの問題が伴うことを覚えておきましょう。
ここまでで、「やっぱりアリバイ会社に頼むのはやめよう」と思ったとしても、現実問題として証明書類が用意できないという事実に直面します。証明書類は必ず必要ですし、申し込みすらできない状況になっているわけです。
そんな時に考えられる第一の方法としては、「開業届を自治体に提出する」ということです。これは個人事業主になる手続きを取る方法になります。
法人ではないとしても、個人事業主は確定申告書を証明書類として利用することができるようになります。これで証明書類の問題はひとつクリアできる可能性が高くなります。
ただ、個人事業主がキャッシングをする時には、営業実績を証明する事業計画書などが求められることも少なくありません。これは一定の営業期間が必要な内容となりますので、すぐにキャッシングができるわけではないと言えます。
即日融資を受けたいくらいの急ぎの時には向かない方法ですが、長期的に見てみると、開業届を出しておくメリットの方が多くなると言えます。
キャッシング以外の時にも、各種の証明が楽になりますし、税金も優遇されますよ。
全ての消費者金融や銀行が対応してくれるわけではなく、成功率も高いとは言えませんが、「借入したい業者に相談してみる」という方法もあります。ダメで元々、というくらいの気持ちでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
相談に乗ってくれた業者が万一(と言うくらい低い可能性です)貸してくれることになっても、希望の借入額にはほぼ届かないと考えておきましょう。証明書類がないということは、それほどのハンデになってしまうのです。
しかし、業者によっては低額での貸付をしてくれることがないとは言えません。もちろん確実に返済できる能力を証明しなければいけませんので、その点で手間がかかることは納得の上で利用しましょう。
ショッピングや遊興費のためではなく、目の前の生活のためのお金が足りないという切羽詰った時も、キャッシングやカードローンを考える理由になります。しかし借りられなければどうしようもありません。
そんな時には思い切って、お住まいの自治体の補助制度を利用してみることをお勧めします。制度としては生活保護が有名ですが、その他にも様々な補助制度があり、業者からお金を借りるよりも低リスクで利用することができます。
生活するには最低限のお金が必要ですが、上記のような理由でどうしても足りない、証明書類もないからキャッシングもできない…となると、やはり最後に頼れるのは自治体です。
返済できるあてがあれば、もちろんキャッシングやカードローンでも良いですし、手続きもそちらの方が楽でしょう。しかし返済が厳しい状況にあれば、自治体に相談してみることが一番です。
この他にも様々な支援制度がありますので、困った時にはまず相談してみて下さいね。アリバイ会社を頼ってお金を借りるより、ずっと良い結果が待っているはずです。
違法ではないとしても、アリバイ会社の利用はかなり黒に近いグレーだということは確かです。借入先にバレなければ良いと思っても、かなりの確率で判明してしまうことは覚悟しておく必要があります。
もしもアリバイ会社を利用したと知られれば、そのペナルティはかなり重大なもの。借りる前よりも厳しい状況になることは間違いないと言えるでしょう。利用しない方が良いと断言できます。
どうしてもお金が必要な時には誰でもあるかもしれません。しかしそんな時、不安定な存在に手を出さず、勇気を出して金融機関や行政に相談してみてはいかがでしょうか。