カードローンやキャッシングを使う気分ではない、でもすぐに現金が必要…。そんな時、あなたが考えるのはどんな方法でしょうか。
最近では銀行や消費者金融がメインになっている借入ですが、昔ながらの質屋での現金の調達も、いまだに根強い人気を誇っています。
ただ、質屋のシステムは、キャッシングなどに慣れた人には分かりにくいのも事実。金利や返済方法なども気になりますよね。
今回は知っておいて損はない、質屋でお金を借りる方法や、金利計算や返済で気を付けたいことについて考えてみましょう。
質屋の歴史は古く、歴史上の文献などでも多く見ることができます。今の貸金業の走りとも言われており、質屋があってこそ、キャッシングやカードローンの世界が産まれたのかもしれません。
質屋は現代のキャッシングやカードローンと異なり、「質入れ」という方法でお金を調達する特徴があります。
現代主流のキャッシング等は、無担保で借入ができますよね。しかし質屋では、必ず担保を必要とします。担保の品質や状態、元々の価格を精査し、貸付の金額が決定されることになっています。
もちろん、返済が完了すれば担保として預けた品物は返してもらえますし、大切に保管されているため、状態が悪くなっていることもありません。
残念ながら借入・返済期間中に完済ができない場合には、担保として預けた品物(質草とも言います)を質屋から返してもらうことはできません。質屋は損失を抑えるため、担保を取るというわけですね。
最初から返済する意思を持たずに質入れをする人もいます。特に悪いことではなく、お金を受け取る時、質屋にその旨を伝えれば良いだけです。高価な不用品などがあれば、質屋に持って行くのも賢い方法でしょう。
質屋は返済されなかった分の担保を中古品として売り出し、損失を抑え、時には利益を出します。このため、リサイクルショップ感覚で利用する人も少なくありません。お互いにメリットのある使い方ですね。
質屋と言うと、時代劇などの影響か、何となく怖いイメージを持っている人もいるようです。しかし現代、そんな怖いイメージは不要でしょう。有名どころでは大黒屋のような、オープンで分かりやすい質屋も増えています。
また、質屋を経営するためには、届出や最低限の資格が必要であり、法律もしっかりと定められています。つまり、法を守る人でなければ経営できない業種ということになりますね。
質屋に入った時、目につく場所に質屋営業許可証が飾られていることでしょう。公式サイトを持っているような大手の質屋であれば、サイト上にも明記してあります。これが正規の質屋の証明書となります。
また、回収した担保を販売している質屋であれば、古物営業法に基づき、古物商許可というものも必要となります。要は中古品を売る資格です。
質屋を利用できる人はどのような資格が必要なのでしょうか。法律では18歳以上が利用可能とされています。ただ、高校在学中の人は不可能だと考えておきましょう。
法律では18歳以上が可能、となっていますが、この「法律では」の部分がポイントで、各自治体の方針によっては、必ずしもこの限りではありません。
各自治体によって違うことは確かなのですが、ほとんどの自治体では、条例で質屋が青少年(未成年)を相手に商売をすることを禁じています。健全な質屋ほど条例を遵守しますので、未成年の利用は難しいと考えられます。
年齢を誤魔化して利用しようとしても、借入の時には身分証明書がなければ担保の審査もしてもらえません。未成年は質屋の利用を諦めておいた方が良いでしょう。
成人している人なら、質屋を利用する最低条件をクリアしています。それでは実際に質屋でお金を都合すると、どのようなメリットがあるかを見てみましょう。
キャッシングやカードローンでは、専業主婦を除き、無職の人が借入をすることができません。しかし質屋では、担保と身分証明書さえあれば借入をすることが可能なのです。
と言うのも、キャッシング等は質屋で言うところの担保がありません。返済できないと言われたら、大変な損失が出てしまいますよね。そのため、収入がない無職はNGなのです。
しかし質屋では、もしも返済できないとしても、担保分の金額の回収が可能であるため、損失が出ない、あるいは最小限に抑えることができ、結果として無職でも借入できる可能性が高くなっています。
その他のメリットとしては、審査の時間が短く、早ければ数分で借入までを済ませられるということ、担保の価値によっては想像よりも多額のお金を借りられる可能性があるということでしょう。
デメリットとして考えられることもいくつかあります。キャッシングやカードローンに慣れた人であれば、特に注意が必要かもしれません。デメリットと言うよりは、キャッシング等との違いと言うべきでしょうか。
キャッシング等と違う点としては、まず、返済期限が短いということです。キャッシングに慣れた人なら数ヶ月、あるいは数年という返済期限の中で返済していきますが、質屋では基本的に3ヶ月程度となっています。
また、どんなに貴重な品物でも、期限までに返済ができなければ手元に戻って来ることはないため、慎重な返済計画を立て、実行できないのであれば、質屋の利用は向いていないと言えるでしょう。
そして最大の懸念事項としては、銀行や消費者金融と比較すると、金利が非常に高いと感じられることなのです。
キャッシングやカードローンでは、利息を年利で考えます。例として、借りた元金が100万円だとして、金利が18%としましょう。100万円を金利18%で1年間借りると、「年間で」197,266円となります。
ところが、質屋では年利ではありません。月利なのです。100万円を金利18%で借りたとすると、「毎月」197,266円を利息として支払う必要が出て来るということになります。
キャッシング等の利息は、金利は年利であるものの、基本的には日割りで算出され、完済までにかかった日数分だけの利息を支払えば良いことになっています。
しかし質屋では、1ヶ月分ごとの利息を支払う必要があり、借りた翌日に全額を返済しても、1ヶ月分の利息を支払うシステムになっているのです。
前もって月利のことを理解しておかないと、返済時に思わぬトラブルに繋がるかもしれません。初めて質屋を使う時には、まず納得いくまで店員さんにシステムを説明してもらう必要がありそうですね。
質屋の返済方法は、最近では銀行振込もありますが、基本的に店舗まで行って直接店員さんにお金を渡すことになります。と言うのも、ここで担保として預けた品物を返してもらうことになるからですね。
もしも返済できない時には、残念ながら担保の品物が手元に戻ることはありません。大切な品物だったらかなり落ち込んでしまいそうです。しかし、そんな時には利息だけでも支払うようにしましょう。
返済ができないことにより、担保が質屋の物になってしまうことを「質流れ」と言います。この質流れは返済ができなければ仕方がないことですが、利息だけでも支払うことにより、避けられる可能性があります。
ただ、あくまで応急処置ですので、返済月数は延びて行くことになりますし、その分また新たな利息が発生する点に注意しましょう。
利息だけを支払う場合には、先に質屋に連絡をしておくとスムーズです。質屋の方も慣れたものですから、特にトラブルが起きることもないでしょう。安心して相談してみて下さいね。
キャッシング等の世界だと、闇金やソフト闇金と言われる違法業者の話題に事欠きません。もちろん絶対に関わりたくないですよね。
実は質屋も同様で、正規の質屋だと偽った、無許可の違法業者が残念ながら存在しています。特に最近では「どんなものでも担保にできます!」と謳い、無理やり貸付をしようとする業者に要注意です。
特に違法業者は、返済方法を口座振替(銀行口座からの自動引き落とし)にする手口を使っていることが多い状況です。これにより、高額な利息を毎月勝手に引き落としてしまうのです。
引っかかり、引き落とし口座を給与口座に指定しまうと、気付くまでかなりの損失が出ることになります。警察に相談するとしても、多額のお金を借りているという事実がある以上、中々気が引けてしまいそうですよね。
こんな違法業者には最初から関わらない方が賢明です。質屋の利用に慣れていない間は、世間や法の注目を集めることが多い、大手の質屋を利用すると良いでしょう。注目されている分、必ず健全な経営を行っていますよ。
ここまで目を通し、「質屋を使うのって難しいな」と感じた人もいるかもしれません。特に担保にしたい(あるいは最初から買い取りをしてほしい)品物がない限り、無理に使う必要はないでしょう。
逆に、担保にしたい、買い取りを頼みたいという物があれば、質屋を使うことに向いています。中には毎月の利息を倉庫代として考え、質屋を倉庫代わりに使っている人もいるほど、自由度が高いのが質屋の特徴です。
質屋もキャッシングも一長一短です。自分の返済能力や、心地よく過ごせるライフスタイルにマッチした借り方をすることがベストですね。
質屋は担保による貸付という、今の時代では珍しい形態を取った業種です。スピーディにお金を借りられる反面、質流れの心配や、月利に不安を持つ人も少なくありません。
もちろんメリットも多く、とにかくスピーディにお金を借りられること、価値はあっても不要なものをお金に換えられることなど、人によってはキャッシングよりも役に立つかもしれませんね。
返済能力や担保を質流れにしても良い気持ちがあれば質屋を利用してみるのも良いでしょう。ただ、少しでも不安が残るのであれば、年利で利息計算ができる、担保不要のキャッシングやカードローンをお勧めします。